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「まだ早い」は思い込みかも?──ダウン症児とママが教えてくれた大切なこと(後編)

  • 2 日前
  • 読了時間: 8分
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「歩けるようになってから」「言葉が出てから」「2時間空くようになってから」多くの人が“トイトレ開始の3条件”を信じています。でも実は、その根拠は科学的に十分証明されたものではないのです。ダウン症の男の子との“自然なおむつ外し”の体験を、お母さんが7回にわたってインスタ投稿されています。ご本人の了解を得て、要約版をご紹介します。 「まだ早い」は思い込みかも?──ダウン症児とママが教えてくれた大切なこと(前編)に続く、後編です。



オムツとトイレの話

(のび太くんママのインスタ投稿)

<オムツとトイレの話①>

昔の日本では、生後半年くらいでオムツが外れていたそうですが、今では平均3歳4ヶ月ごろ。時代とともにやり方も変わってきて、「子どものペースで無理なく」と言われるようになりました。


でも、私が印象に残っているのは「赤ちゃんはオムツをつけて生まれてきたわけじゃない。つけているのは大人の都合」という言葉。これを聞いたとき、「本当だな」とすごく納得したんです。

妊娠前から育児のことをいろいろ学んでいて、「オムツに頼りすぎない育児」という講座にも参加しました。そのときに出会った考え方を、のび太が生まれてから実際に試してみることにしたんです。

生後2ヶ月で初めておまるに排泄し、7ヶ月のころには体調が悪いとき以外はほとんどおまるで排便。4歳くらいになると、親以外の人にもトイレの合図ができるようになりました。もちろん、途中はいろいろなことがありましたが、その経験をこれから少しずつお話ししていきます。


<オムツとトイレの話②>


のび太が生まれる前、私はいろんな育児本を読んだり講座を受けたりして、出産後のことを勉強していました。実際にやってみると、思い通りにならないことも多かったけれど、心の準備ができていたのは本当に助けになりました。のび太はダウン症をもって生まれましたが、「今できることをやるしかない」と自然と気持ちを切り替えて、授乳やお世話を続けました。

新生児室では授乳がとても大変で、10ml飲むのに10分かかるほど。でも、飲んだあとはすぐにうんちやおしっこをして、「出すことは自然にできるんだな」と感じました。オムツを開けた瞬間におしっこをすることも多く、「赤ちゃんって開放されたときに排泄するのが本能なのかも」と思ったんです。

「おむつなし育児」という言葉は誤解されやすいけれど、実際はオムツを使いながら“排泄のサインに寄り添う育児”。私は布と紙を状況で使い分けていました。授乳に追われた新生児期でしたが、のび太を見て「排泄の本能」を感じた2週間でした。 次回は、退院後にオマルを使い始めたころの話をします。


<オムツとトイレの話③>

私が布おむつを選んだ理由は、肌が弱くて紙ナプキンが苦手だったこと、そしてゴミを減らしたかったからでした。 使っていたのはコトリワークスさんの布おむつで、オマルは野田琺瑯のもの。においも気にならず、使い勝手がよくて本当に長くお世話になりました。


産後すぐは授乳が中心で、布おむつをこまめに替える毎日。すると、新生児が15分おきくらいにおしっこをしていることに気づきました。 よく「濡れて気持ち悪いと泣く」と言いますが、私は「おしっこをしたいから泣く」んじゃないかと思うようになったんです。膀胱が小さい赤ちゃんはすぐにムズムズする。それが不快なのかもしれません。


布おむつの一番のメリットは、嫌でも排泄を気にかけるようになること。赤ちゃんをよく観察するようになり、泣く理由も少しずつ分かってきました。手間はかかるけれど、それが絆にもつながります。 とはいえ、無理は禁物。紙おむつもうまく使いながら、頼りすぎないことが大事です。


そんな中、のび太が生後2ヶ月を迎えるころ、初めてオマルでうんちをしました。とても気持ちよさそうな笑顔を見て、「今しかない」と思った瞬間でした。 次回は、その後に見えた変化のお話をします。


<オムツとトイレの話④>


のび太が1ヶ月を過ぎた頃、私は乳腺炎で高熱を出しました。母乳はよく出たけれど、のび太の飲む力が弱くて、搾乳しながらなんとか授乳を続けていたんです。助産師さんに「直接飲ませないと出が悪くなる」と言われて、必死に練習してようやく軌道に乗りました。


そのころ、授乳中に「急に飲むのをやめる」というのが“排泄したいサイン”だと知り、実際にその通りでした。授乳が終わったらオマルに座るのを習慣にしてみると、だいたいそこでうんちをするようになっていきました。 7ヶ月ごろには、排便はほとんどオムツではせず、外出先では我慢して家でしかしないように。体調が悪いときだけオムツにしてしまうなど、排泄が体調のバロメータにもなりました。


1歳半のとき、私がインフルエンザで寝込んだ際、夫がのび太をオマルに座らせると、泣いていたのび太がちゃんとうんちをしてニコニコに。夫婦で感動した出来事でした。


赤ちゃんだってトイレに行きたい気持ちはあるし、小さなサインをちゃんと出しています。ただ、大人が「オムツが当たり前」という環境を作ることで、それに慣れてしまう。


だから“トイトレの壁”が生まれるんです。少しでも早いうちから「自然な排泄の感覚」を残してあげることが、後のトイレ移行をスムーズにするコツだと感じました。


<オムツとトイレの話⑤>


赤ちゃんがオムツ生活からトイレに切り替えるのは、とても大きな変化です。切り替えが苦手な子には特にハードルが高いもの。


じゃあ逆に、大人が「今日1日オムツで過ごしてください」と言われたらどうでしょう?


きっと多くの人が、恥ずかしさや違和感を感じるはずです。実はこの「違和感」はとても大切で、排泄が“人の尊厳や感覚”と深くつながっている証拠なんです。


嗅覚と記憶を司る脳の海馬は密接な関係にあり、オムツ生活によって嫌な臭いを避けようと嗅神経が鈍ると、認知機能も落ちやすいとも言われています。実際、介護施設でオムツをやめてトイレ排泄に戻したところ、表情が明るくなったり、認知症の進行が止まったという報告もあるそうです。


赤ちゃんも大人と同じ人間。開放空間で排泄できることは、心地よさや安心につながります。一方で、トイレの音や水の跳ね返りが怖いなど、子どもには子どもなりの“できない理由”もあります。


のび太も、オマルからトイレ、トレパン、パンツへと進む中で何度もつまずきました。でも、それは当然のこと。親がその背景を理解していれば、焦らず穏やかに寄り添える。


次回は、動けるようになってからののび太の変化と、保育園での様子をお話しします。


<オムツとトイレの話⑥>


のび太が少しずつ成長するにつれ、オマルに素直に座らないことも増えてきました。絵本やカードを使って気を引きながら、楽しい雰囲気でトイレ時間を過ごしていた時期もあります。


排泄の自立には「膀胱に尿をためる力」と「トイレに行きたい感覚を脳に伝える力」が必要ですが、のび太は2歳になる前には夜オムツが濡れないことも増え、外出先でも排尿が減るなど、溜める力はすでに育っていました。


ただ、オムツからトイレへの移行に時間がかかるのは、多くの場合“大脳での認識”の部分。だからこそ、小さいうちから「自然な排泄の介助」で体の感覚を育てておくことが大切だと感じます。


3歳前に保育園へ通い始めると、生活リズムの変化で朝の排便が出にくくなり、お風呂で立ったままするようになりました。最初は困るなと思ったけれど、本人にとっては「温まると出しやすい」という理由があったんです。怒らずに見守るうちに、次第にトイレでできるようになりました。


保育園ではお昼寝だけ紙オムツでしたが、先生と連携して少しずつパンツに移行。のび太は「保育園と同じが安心」というタイプなので、習慣の変化には時間がかかりましたが、5歳を前に無事オムツ卒業。これからも様子を見ながら、その時々の理由を考えて寄り添っていこうと思います。


<オムツとトイレの話⑦>


今回で「オムツとトイレの話」は最後です。これまでを通して、伝えたいポイントは3つ。


1)まずはやってみよう。

「早期からの自然な排泄の介助」は、特別な道具がなくてもできます。お風呂上がりに少しオムツを外してあげたり、もし床を濡らしても怒らず、「気持ちよく出せたね」と共感してあげることが大切。「今度はトイレでもしてみようね」と優しく声をかけてみましょう。これは“オムツなし育児”というよりも、“子どもに寄り添う”という、どんな子育てにも通じる姿勢です。


2)突然できなくなるのは、成長の証。

のび太も排便は早くから安定していましたが、排尿は波がありました。オムツが濡れても気にしない時期があっても、それは成長の途中。夜だけはきちんと知らせてくれるなど、“できない”ではなく“今は他に興味が向いている時期”と受け止めることが大切です。


3)「ダウン症だから無理」と決めつけないでみよう。

のび太は身体的に恵まれていたけれど、どんな子もまずは一人の赤ちゃん。できる範囲で、親子が無理せずに試してみるだけでも十分価値があります。うまくいかなくてもやめればいいし、やってみて初めて見えることもあります。


このテーマをシェアするのは勇気がいりましたが、トイレに悩む親御さんたちの助けになればという思いで投稿しました。


「早期からの自然な排泄の介助」は、“トイトレ”とは少し違う、子どもの感覚と尊厳に寄り添う考え方。誰かのきっかけになれたら嬉しいです。


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以上です。とても貴重な記録をシェアして下さったのび太くんのママ、、本当にありがとうございました。

子どもと家族の排泄サポート研究所 代表 和田智代



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