「まだ早い」は思い込みかも?vol.2──重度自閉症児とママが教えてくれた大切なこと
- 10月16日
- 読了時間: 6分
更新日:10月17日

前回のブログでは、ダウン症のお子さんとママの実例から、「“まだ早い”という思い込みが、子どもの力を閉じ込めてしまうかもしれない」というお話をお伝えしました。
今回はその続編Vol.2として、重度自閉症のお子さんと、お母さんのストーリーをご紹介します。
そこから見えてくるのは「言葉が出ていなくても」「発達のペースがゆっくりでも」、子どもたちは私たちが思っている以上に “感じて” “理解して” “自分で動ける” 存在だということです。
「喋れない子にトイトレなんて無理」─そう思っていた
ゆうかさんの長男・たろう君(仮名)は、現在小学6年生。知的障がいを伴う重度自閉スペクトラム症で、今も発語はありません。支援学校に通っています。
たろう君が2歳のとき、たまたま空きがあった保育園に入園することになりました。その保育園はなんと「乳児クラスから布パンツ保育」を行っている園。
当時のことをゆうかさんはこう振り返ります。
「発語がないから、トイトレなんてまだまだ先だと思っていました。雑誌を読んでも“喋れるようになってから”と書いてあって、この子には無理だと信じていたんです。」
「無理です!絶対漏らします!」と伝えた面談
入園前の面談で、ゆうかさんは正直に伝えました。
「うちの子、喋りません。トイトレなんてしたことありません。絶対に漏らします。無理です。保育園に迷惑をかけてしまいます。」
けれど保育士さんの答えは、とてもシンプルでした。
「お母さん、大丈夫ですよ。」
その一言に背中を押されるようにして、たろう君は4月に入園しました。
パンツを知った日から、おむつを嫌がるように
入園してすぐ、保育園では全員が布パンツ。たろう君も当然、布パンツで過ごします。
すると──不思議なことが起きました。パンツをはくようになったその日から、逆におむつを拒否するようになったのです。
実はたろう君は赤ちゃんの頃から肌が敏感で、どのメーカーの紙おむつを試してもかぶれてしまい、つらい思いをしていました。 「パンツというものを知った瞬間、おむつを嫌がって履かなくなりました。そこから完全パンツ生活が始まりました。」
4月のあいだは、もちろん、おもらしの連続。洗濯ものもたくさんありました。 でも保育園ではそれを「失敗」とは呼びません。
「排泄を五感で感じて学ぶ大切なプロセス」として、丁寧に見守ってくれました。
...そしておむつは自然に外れた!
やがて迎えた5月末。ゆうかさんは信じられない光景を目にします。
「喋らない、指差しもしない、模倣もできない─そんなわが子のおむつが外れていたんです。」
4月の入園からわずか2か月弱の、2歳数か月の頃。
特別なトイレトレーニングを行ったわけではありません。
ただ、布パンツで過ごし、おしっこが出る感覚を五感で感じる中で、“こっちのほうが気持ちいい”ということを、たろう君自身が理解していったのです。
「この子は“できるんだ”」と信じられた瞬間
たろう君は多動傾向も強く、着替えもまだできない段階でした。
そんな中でのおむつ卒業は、ゆうかさんにとって大きな転機になりました。
「おむつが外れたことで、私自身が“この子できるんだ”と思えるようになったんです。いっぱいおもらしして、着替えを繰り返すうちに、自分で着替えもできるようになりました。排泄自立とともに、身辺自立も進んでいったんです。」
“まだ早い”と思い込んでいたのは、実は親のほうだった──。 そう気づいた瞬間だったそうです。
みんな知らない「知的発達と排泄自立はあまり関係ない」という事実
多くの人─そして専門家でさえ─「知的発達に遅れがあると、排泄の自立も大幅に遅れる」と信じています。けれど実は、それは誤解です。
知的発達と排泄自立は、実際にはあまり関係がありません。
もちろん、発達に遅れがあるお子さんの場合、排泄自立が健常児より少しゆっくり進むことはあります。
けれど、寝たきりなどの重度の身体障害がなければ、知的な遅れがあっても、“排泄自立が大幅に遅れる”ということはほとんどない。 ─これは、長年、子どもの排泄を研究してきた私自身の実感でもあります。 私たちの活動を温かくサポートして下さっている、『赤ちゃんからはじまる便秘問題』の著者の小児外科医・中野美和子先生も、同様のことをおっしゃいます。
しかし、多くの専門職はこの事実を知らないために、「発達に遅れがあるならトイトレは後回しでいい」と判断してしまう。 その結果、発達特性のあるお子さんが「就学してもおむつが外れない」という困難な状況に陥るケースが少なくありません。
変化が苦手な彼らにとって、長年慣れたおむつ排泄の習慣を変えるのは本当に大変なこと。 だからこそ、トレーニングという考え方ではなくて、乳児期から“感じる経験”を重ねることが大切なのです。
排泄の自立は、「できる」を信じる第一歩
発達特性のある子どもたちは、一度身につけた習慣を変えにくい傾向があります。だからこそ、最初に身につける生活習慣が、その後の人生──進学や就職にも──大きな影響を与えます。
たろう君は特別なトレーニングをしたわけではありません。「パンツで過ごす」「感じる」というシンプルな生活の中で、自然に自立への道を進んでいきました。
排泄の自立は、“心と体の自立”の入口。それは「親が子を信じる」経験でもあります。
「重度の自閉症で発語がなくても、子どもは“こっちのほうが気持ちいい”をちゃんと感じ取れる。感じる力を信じてあげることが大切なんだと思いました。」
その後ゆうかさんは「0歳からの自然なおむつ外しアドバイザー」となり、発達特性のあるお子さんや保護者を支援する素晴らしい活動を行っています。
気になる方は、ぜひゆうかさんのインスタグラムをのぞいてみてください。
「感じる力を育てる」自然なおむつ外しを学びたい方へ
ゆうかさんの経験は、「発達がゆっくりでも、“感じる力”を育てる環境があれば、子どもは自分で動き出す」という大切なメッセージを伝えてくれます。
その考え方やノウハウを体系的に学べるのが、「0歳からの自然なおむつ外しアドバイザー養成講座」です。
障がいがあってもなくても、その子が本来持つ力を信じて、自然な排泄自立をやさしくサポートする方法を、理論と実践の両面から学べます。
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こどもと家族の排泄サポート研究所 代表 和田智代
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