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粉ミルク事件と紙おむつ(前編)

  • 6月23日
  • 読了時間: 5分

更新日:6月24日

「途上国の粉ミルク事件って何?」「それと紙おむつとどんな関係があるの?」日本ではあまり知られていないのですが、深刻になりつつある問題です...



ちょっと長いので、今回(前編)と次回(後編)に分けてお届けします。



「途上国の粉ミルク事件って何?」

「それと紙おむつとどんな関係があるの?」


日本ではまだあまり知られていないのですが、ちょっと深刻になりつつある問題です。 社会がますますグローバル化する中で、SDGsでもゴミや環境汚染の問題が取り上げられている中で、日本人も知っておいた方が良い大切な事実だと思います。

途上国の粉ミルク事件


今回の前編では、「途上国の粉ミルク事件」についてお伝えします。


『汚れたミルク』


という外国映画があります


↓あらすじはこんなかんじ↓


::::::::::::::::::::::::::::::::::::


1990年代のパキスタン。 赤ちゃんの粉ミルク販売にグローバル企業が参入し、現地の医師も巻き込んで、医師にワイロを渡したりして、『母乳よりも粉ミルクの方が 赤ちゃんの成長に良いんだよ!』という販売促進を母親に対して精力的に進めました。 その結果、粉ミルクを買い求める母親が一気に増加!!! 中には貧困層の母親も含まれていました。その日の暮らしもギリギリな貧困層の母親であっても「赤ちゃんを健康に育てたい!」という気持ちは同じ。


出産後スグに医師から勧められて、病院で無料でもらった粉ミルク試供品を、何の疑問も持たずに赤ちゃんにあげ続けました。


そうするうちに、もともと十分に出ていた母親の母乳はやがて出なくなっていき、試供品が終わった後も、粉ミルクに依存するしか方法がなくなりました。


...でも買い続ける十分なお金がないために、なけなしのお金で買った粉ミルクを、ちょっとでも長持ちさせようとして、すごく薄めて飲ませたりしました。


また開発途上国の貧困層の女性は、読み書きが十分できない人が多く、粉ミルクのパッケージに記載されている説明書が理解できないために、最初から誤った分量の水で粉ミルクを薄めて飲ませてしまうこともありました。 さらに貧困層の住むエリアでは、そもそも安全な水が手に入らないことが多く、汚染された水で粉ミルクを作ったり哺乳瓶を洗ったりしました。


その結果...


粉ミルクが原因で多くの赤ちゃんが病気になったり亡くなったりしたのです!


この事実を知ったグローバル企業である某粉ミルク会社の現地パキスタン人社員が、良心に目覚め、雇い主のグローバル企業を国際的に告発するべく立ち上がって戦いを挑む... ::::::::::::::::::::::::::::::::::::


...という実話に基づいた映画です。


この類の事件は、実はパキスタンのみで起こったのではなく、1970年代からずっと、世界中の開発途上国で起こっている事件です。


私が以前、働いていた国際協力の世界では、粉ミルクを販売するグローバル企業の代表格であるネスレ社(Nestle)の名前をとって ネスレ事件


と呼ばれています。


「粉ミルク ネスレ事件」でネット検索すると、たくさんの関連記事が出てきます。


日本でもネスカフェやキットカットなんかで有名な「ネスレ社(Nestle)」です。 もちろん、ネスレ社だけが開発途上国で粉ミルクを販売した唯一の会社ではないのですが、粉ミルクの国際的なシェアが世界トップであったために、「ネスレ事件」という不名誉な名前がついてます。


粉ミルク販売の国際基準


貧困層の赤ちゃんたちが、粉ミルクのために次々と病気になり命を落としている...という事態を重くみた国連機関(WHOとUNICEF)は、1980年代に 母乳代用品のマーケティングに関する国際基準


を制定し、各国政府に向けて以下のような条項を遵守するよう呼びかけました


✅粉ミルクの宣伝・広告をしてはいけない

✅母親に粉ミルクの試供品を渡してはいけない

✅病院などを通じて粉ミルクを売り込んではいけない

✅製品のラベルに粉ミルクを理想化する言葉や絵や写真を使ってはいけない

✅粉ミルク会社が保健医療従事者に贈り物をしてはならない

✅粉ミルクに関する情報を提供するときは、母乳育児の利点を説明し、粉ミルクのマイナス面・有害性を説明しなければならない


しかし世界197ヵ国の状況を見ると、この国際基準を法制化して厳しく守っている国は一部にすぎません。


だから「汚れた粉ミルク」の問題は、今も世界各地で起こり続けています。


そして残念なことに日本政府は、このWHOによる母乳代用品のマーケティングに関する国際基準「同意」はしているけど「法制化」はしていない国の一つです。


それって、「いい考えだね!」って口では言ってるけど「法律として守る」ことまではしてない...っていうことです。

長男を産んだ産院も...


私が長男を産んだ日本のとある産院でも、出産の翌日に、突然、粉ミルクの会社の女性が「おめでとうございます!」って私の病室に入ってきて、大きな紙袋イッパイの粉ミルク試供品を渡されて、すごく違和感を感じたことを覚えています…。 その産院は、母乳指導はほとんどしてくれなかったから、なおさら、なんかモヤモヤを感じました。 幸い私の場合は、母乳がちゃんと出るようにと、母が献身的にサポートをしてくれたお陰で、粉ミルクのお世話になることなく、長男を育てることができました。 しかし、初産で知識も経験もなくて、産後しばらくの間は母乳が全くでなかった私は、母の献身的なサポートがなかったら、母乳を簡単にあきらめてしまっていたかもしれません...


...とここまでが「途上国の粉ミルク事件」の話でした!




途上国の粉ミルクと紙おむつ問題に共通すること


そして!実は!!「途上国の粉ミルク事件」と全く同じことが、いま、紙おむつをめぐって途上国で起こりつつあって、私はとても心配しているのです...



この続きは次回のブログ『粉ミルク事件と紙おむつ(後編)』でお伝えしますね!お楽しみに!


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