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“排泄に寄り添う保育”の中で見落としていませんか?

  • 10月30日
  • 読了時間: 5分
排泄に寄り添うことから見える、子どもの成長。“子どもが自分で感じる力”を信じる保育へ。
排泄に寄り添うことから見える、子どもの成長。“子どもが自分で感じる力”を信じる保育へ。


「1歳児クラスで布パンツにしたのはいいけれど、おもらしばかり続いて...。排泄に寄り添う保育を実践したいけれど、なんだか行きづまってて...」と、保育士さんが、ぽつりと話してくれました。

「毎日、その子の様子を見ながら“今かな?”と思うタイミングでおまるに誘っているのに、“行かない!”って言う。でも気づいたら出ちゃってて、着替えが続いて...。」


排泄のサインを見逃さないように、同僚保育士に相談したり、アドバイスしあったりする。それでもうまくいかない日がある。そんなとき、子どもは本当は何を感じているのでしょうか。



「トイレに行かない」の裏にある“気持ち”


子どもの排泄行動は、身体だけでなく「心の発達」とも深く結びついています。 「いやだ」「まだ遊びたい」「失敗したくない」 その一つひとつが、子どもなりの自立へのサイン。


けれど、大人の意識が「オマルやトイレでさせる」という“結果”に向きすぎていると、「なかなかできない」「気づいた漏らしている」という表面のことばかりが気になってしまう。 その背景にある“子どもが安心しておもらしできる関係”の部分が、つい後回しになってしまうことがあるのです。



「できる・できない」よりも、「感じる・信じる」から


排泄に寄り添うというのは、なるべくお漏らしをさせないことでも、トイレやおまるでの成功を目指すことでもありません。子ども自身の感覚を信じることです。


それは、子どもが自分の身体の声を感じて、考えて、判断することで成長していく姿を、温かく見守って応援することでもあります。


「出そうかな」 「いやまだ出ないかな」 「あ、もれちゃった」 「今日は間に合った!」 という小さな気づき。 それを一緒に感じ、受けとめてあげるだけで、子どもは“自分の身体の感覚を信じていいんだ”と学んでいきます。


ただ、子どもとのそうした関わりを、保育という“集団の場”でどう実践するか。 それを一人で考えるのは、とても難しい時もありますよね。



「そんな理想、現場では無理」──そう思っていたAさん


ベテラン保育士のAさんも、最初はそう感じていました。 ある日、書店で目にとまった『おむつなし育児』という本。Aさんはページをめくりながらつぶやきました。


「おむつに頼りすぎない育児か。とても素敵だけど、大勢の子どもがいる保育園という集団の場では、子ども一人ひとりの排泄を丁寧に見ておむつ外しするなんて、無理だよね。」


すると、隣にいたご主人が静かに言いました。


「…え、でもさぁ、子どもを一人ひとり丁寧に見ることが、保育士の仕事でしょ?」


Aさんは思わずカチンときました(笑) けれど、その一言が胸に残り、「できない理由」ではなく「できる工夫」を探すことを決めたのです。


それからAさんは園に少しずつ“おむつに頼りすぎない保育”を取り入れていきました。


最初は「これでいいのかな?」という、迷いの連続。 でも試行錯誤を重ねながら「排泄に寄り添う実践」を続けた数年後、園にはその保育が根づき、地域でも「排泄に優しい園」として知られるようになりました。


今ではそのAさん―― 麗蓉(ほう れいよう)さんが、「排泄に寄り添う保育カフェ」のファシリテーターとして、子どもの排泄課題に悩む保育士さんたちを温かくサポートしています。



「保育カフェ」は、正解を探す場所ではなく、“語りながら気づく場所”


「誰かに話すだけで、自分の考えが整理できた」「異なる経験を持つ他園の保育士さんの話を聞いて自分の引き出しが増えた」そんな声が、これまでの「保育カフェ」でたくさん聞かれました。


現場で感じていること、子どもの姿、保護者とのやりとり。一人では言葉にしづらい“もやもや”を、安心して語り合える小さな場が、保育者には本当に必要なのだと思います。


毎月のカフェでは、特にテーマを決めずに自由に話をします。けれど不思議と、対話の中から、自然に2~3つの大切なテーマに絞られていくのです。



たった1時間でも、気づけることがある


排泄に寄り添うカフェを通して見えてくるのは“子どもの排泄と発達”。その理解が深まると、排泄という枠を超えて、保育全体がやさしく変わっています。 やがて子どもたちも、保育士も、保護者も、より良い方向へと変化していくのです。


「今まで“どうすればおまるやトイレで排泄できるか”ばかり考えていたけれど、子どもが安心して排泄できる空気をつくることが、一番大切なんだと気づきました。」

「カフェに参加するようになって、自分の中に保育の考え方の軸ができていく感じがしています。」


「子どもの小さな仕草や行動が、カフェの対話の中で言語化されて、自分の中に落とし込まれていく。とても勉強になります。」


毎月1回・1時間の「排泄に寄り添う保育カフェ」の中で、きっとあなた自身の保育観にも、小さな風が吹くはずです。


👉 排泄に寄り添う保育カフェ(公式ページ) (新規メンバーの募集は春と秋の年2回のみです)


“排泄の悩み”が、“子どもをまるごと見る保育”に変わっていく場所で、私たちと一緒に、過ごしてみませんか。

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文責:和田智代(一般社団法人 こどもと家族の排泄サポート研究所 代表理事) 

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