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どうして夜だけ?昼と夜で違う“おもらし”の本当の理由

  • 10月3日
  • 読了時間: 6分

更新日:3 日前

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昼と夜のおもらしは別もの…ということを多くの人は知りません。保育や医療などの専門職養成校でも習う機会がほとんどありません。その違いを知らずに、長期間にわたって辛い思いをする大人&子どもがとても多いのです…



「昼はできるのに、夜はできない」その疑問

子どもの「おもらし」にはいくつか種類があります。


中でも「眠っているとき(夜やお昼寝中)のおもらし」と「昼間起きているときのおもらし」は、原因がまったく違うのです。


ところが、このことを知っている人は意外と少なく、保護者だけでなく保育や保健医療の専門職でさえ学校で学ぶ機会はほとんどありません。


そのために

  • 「もうすぐ小学生なのに、なぜいつまでも夜に漏らしてしまうの?」

  • 「昼間起きている時は失敗しないのに、どうしてお昼寝の時はもらすの?」

と悩む方がとても多いのです。


夜やお昼寝中のおもらしの原因は?


眠っているとき(無意識状態)で起きるおもらしは、子どもの努力やしつけで防げるものではありません。主な原因は次の3つです。


  1. 膀胱がまだ小さく、十分に尿をためられない

  2. 抗利尿ホルモンの分泌がまだ整っていない(眠ている間に尿を作る量を減らすホルモン)

  3. 尿意を感じても眠りが深く、目が覚めない


これはすべて「身体の成長に伴って整っていくもの」であり、訓練で無理に改善できるものではありません。 実際、私の周囲で「0歳からの自然なおむつ外し」を実践してきたご家庭でも、「昼間のおむつは2歳前後で自然に外れたけれど、夜のおもらしは小学生になっても頻繁にあった」というケースはたくさんあります。



遺伝の影響も大きい


眠っているときのおもらしには体質も強く関係しています。


  • 両親とも夜尿体質であった場合 → 約70%の確率で子どもも夜尿傾向

  • 片方の親が夜尿体質の場合 → 約50%の確率


つまり「親もそうだったから、子どもも同じように時間をかけて治っていく」ケースが多いのです。多くは思春期(およそ10歳前後)までに自然に改善していくとされています。

実際、私が知っている夜尿症のお子さんの多くは、「その子の親も小学生3~4年生頃まで夜尿があった」というケースがほとんどです。



焦らずまずはリラックス!


日本小児泌尿科学会による夜尿症の定義は「5歳を過ぎて週に2~3回以上の頻度で、少なくとも3か月以上連続して夜間睡眠中の尿失禁(おもらし)を認めるもの」。 つまり、特に「5歳までの夜のおもらし」は、「身体の成長過程で誰にでも起こりうる自然なこと」である可能性大なのです。 そして、小児泌尿器科学会によると、「7歳児の約10%」に夜尿があるとのこと。意外に多いですよね? だからこそ、夜尿などの“寝ている間のおもらし”については、「早くなおさなきゃ!」と焦ったり、ましてや「また漏らして!」なんて叱るのは禁物。


まずは大人がゆったり構えてリラックスすることが大切です。 その上で、後ほどご紹介する「家庭でできること」をやりつつ、その子の身体の成長を待ってあげてほしいのです。


ただし、小学校高学年になっても夜尿が頻繁に起きる場合は、何かの病気が隠れている可能性があるので、医療機関の受診をお勧めします。



昼間のおもらしは別のサイン


一方で、昼間起きて活動しているときに繰り返すおもらしは、夜のおもらしとはまったく違います。


3〜4歳になると多くの子どもは昼間の排泄をコントロールできるようになります。


もしも昼間のおもらしが幼児後期や学齢期になっても続く場合は、寝ている間のおもらしの原因とは異なり、膀胱を支配する神経系の未発達などが背景にあるといわれます。


実はこの昼間のおもらしが、日本でも増えているのです。(野井・鹿野・中島・下里・松本, 2020, 子どもの“からだのおかしさ”に関する保育・教育現場の実感


さらに欧米の研究では、「トイレトレーニングの開始時期の遅れ」と昼間のおもらしの相関を指摘する報告が多数あります(Carol Joinson et al., 2009, A prospective study of age at initiation of toilet training and subsequent daytime bladder control in school-age children など)。


特に、生まれてから3歳過ぎまで一貫しておむつに頼っていた子どもは、昼間の尿失禁や膀胱腸機能障害(Bowel and Bladder Dysfunction, BBD)のリスクが高まるとされています。


そのため、イギリスにある子どもの排泄の研究機関ERICは、「生後18ヶ月から30か月の間におむつをやめた方が、子どもの膀胱と腸の健康に良い」とはっきり警告しているのです。


これについての詳しい話は、また別のブログで書きますね。


いずれにしても、昼間のおもらしが長引く場合には、医療的な診断や治療が必要となるケースもあるのです。



夜のおもらし対策にできることはある?


「夜のおもらしは成長を待つしかない」と言われると、「改善のための方法は何もないの?」と思う方もいるかもしれません。


そんなことはありません。本人が困っていて治療を望む場合は、専門の医療機関を受診することもできます。


ただ、「夜のおもらしは成長を待つ」という特性があるため、治療を受けてもすべてのお子さんがすぐに改善するというわけではないようです。


一方、医療機関にかかる前に、家庭でできることもあります。生活習慣を工夫することで改善を助けられる場合があるのです。


具体的な方法は、こどもと家族の排泄サポート研究所のInstagramで公開しています。ぜひ参考にしてみてください!




未来につながる「0歳からの自然なおむつ外し」


ここまでをまとめると:

  • 夜やお昼寝中のおもらしは「体の成長待ち」

  • 遺伝の影響が強く、多くは思春期までに自然に改善

  • 夜のおもらしには家庭でできる工夫もある

  • 昼間のおもらしは別問題で、必要に応じて医療的な対応が必要となるケースも


つまり、夜や昼寝などの「眠っている時のおもらし」以上にしっかり考えてあげたいのは、いま増えていると言われる「幼児後期や学齢期の昼間のおもらし」です。


「身体の成長待ち」の夜のおもらしと異なり幼児後期や学齢期の昼間のおもらしは、大人のサポート次第で予防できる可能性があるからです。


そのために大切なのが、0歳から無理なく自然な形で「おむつ以外で排泄する経験」を重ねていって、適切な年齢でおむつを外してあげること


「0歳からの自然なおむつ外し」を知っているかどうかで、トイレトレーニング的なことをしなくてもおむつが自然に外れるだけでなく、将来の排泄トラブルも防げる可能性があるのです。



学びの一歩を踏み出しませんか?


こどもと家族の排泄サポート研究所では、この考え方や具体的なサポート方法を体系的に学べる講座を開講しています。


ご自身のお子さんのためにも、保育や教育の現場で子どもたちを支えるためにも、ぜひ学んでいただきたい内容です。


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