「この子は、一生おむつの中で排泄するのでしょうか」――17年前の一本の電話から始まったこと

■一本の電話
「この子は、このまま一生、おむつの中で排泄するのでしょうか」
今から17年前、2009年のことです。
「おむつに頼りすぎない育児」について研究・発信する活動を始めたばかりの頃、一本の電話がかかってきました。
電話をくださったのは、重度の知的障がいがある、小学4年生のお孫さんをもつおばあちゃんでした。
お孫さんは、昼も夜も紙おむつ。
「知的障がいについては、どうにもならないことは理解しています。でも、この子がこのまま一生、おむつの中で排泄するのかと思うと、不憫で不憫で……。なんとかならないでしょうか」
私は、何も答えることができませんでした。
当時の私には、障がいがある子の排泄について、知識も経験もなかったからです。
何もお伝えできなかったことが、本当に申し訳なく、歯がゆかった。
その電話のことは、その後もずっと、心のどこかに残っていました。
■「障がいがあるから、仕方がない」は本当?
その後、全国各地で「おむつに頼りすぎない育児(0歳からの自然なおむつ外し)」について講演や講座をするようになると、私は思いがけない子どもたちに出会うようになりました。
たとえば、ダウン症のある男の子。
生後2か月からおまるを使い始め、生後7か月頃には、うんちのほとんどをおまるでするように。
最終的に、特別な「トイトレ」をほとんどすることなく、4歳前には昼間のおむつが外れました。
そして、重度の知的障がいを伴う自閉症の男の子。
満2歳で、乳児クラスから布パンツで過ごす園に入園。
発語もなく、お母さん自身も「おむつが外れるのはまだまだ先」と思っていました。
ところが、布パンツで過ごし始めて、わずか1か月あまりで昼間のおむつが外れたのです。
こうした子どもたちとの出会いに、私は驚きました。
そして、思いました。
「障がいがあると、おむつ外しは遅くなる」
それって、本当にそうなのだろうか?
これは「たまたま」なのだろうか?
もちろん、数人の事例だけで、
「障がいがあっても早くおむつが外れる」
とは言えません。
だから、もっと知りたいと思うようになりました。
そして、いつかきちんと研究して、
「障がいがある子の自然なおむつ外し」について伝える講座を作りたい。
そう考えるようになりました。
■おむつが外れないまま就学した子はいない
そんな私の背中を大きく押してくれたのが、最近出会った、ある施設での実践です。
長年、知的障がいがある3~5歳の子どもたちの就学前教育を続けてきた施設。
その施設のベテラン職員の方から聞いたのは、
「私がここで勤務を始めてから今に至るまでの何十年もの間、うちの施設では、おむつが外れないまま就学した子はいない」
というお話でした。
しかも、実際のデータも見せていただきました。
私が出会ってきた、数人の「うまくいった話」ではありません。
施設で過ごした大勢の子どもたちに、長年関わり続けてきた結果です。
そのデータを見た時、
「これは、きちんと調べて、伝えたい」
と思いました。
■今、改めて調べています
現在、講座を作りながら、国内外の論文も読み進めています。
知りたいのは、
「排泄自立は、本当に知的発達の程度によって決まるのか?」
ということ。
日本では、このテーマの研究はまだ多くありません。
でも、世界に目を向けると、私がこれまで子どもたちの姿から感じてきたことを考えるうえで、手がかりとなる研究も見つかっています。
もしかすると、
障がいそのものだけではなく、
「まだ無理だろう」という大人の思い込みや、排泄する環境、関わり方が、大きく影響しているのではないか。
今、そんなことを考えています。
■17年前の電話に、今なら
もし今、17年前と同じ電話がかかってきたら。
私は、
「障がいのあるお子さんについては、私たちはまだ研究していないので、何もお伝えすることができません」
とは言いたくありません。
でも、
「必ずおむつは外れます」
とも言えません。
ただ、
「障がいがあるからといって、最初からあきらめなくてもいいかもしれません。その子が持っている『排泄する力』を、一緒に見ていきませんか」
今なら、そうお伝えしたい。
あの日、答えられなかった問いに、17年かけて、もう一度向き合う。
そんな気持ちで今、
「障がいがある子の自然なおむつ外し」
という新しい講座を作っています。
これから、講座を作りながら見えてきたことや、驚いたこと、考えたことを、このブログでも少しずつお伝えしていきます。
一緒に考えていただけたら嬉しいです🌿
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一般社団法人 こどもと家族の排泄サポート研究所では、
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今回の「障がいがある子の自然なおむつ外し」についても、講座を作る中で見えてきたことや、新しいブログ記事、今後の講座情報などを少しずつお知らせしていく予定です。
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文責:和田智代(一般社団法人 こどもと家族の排泄サポート研究所 代表理事)
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