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3000万語の格差-赤ちゃんの脳をつくる親と保育者の話しかけ

  • 5月2日
  • 読了時間: 4分

更新日:5月3日

「排泄コミュニケーション」のような、親や保育者から赤ちゃんへの話しかけが、子どもの脳の発達に大きな影響を与える可能性が!
「排泄コミュニケーション」のような、親や保育者から赤ちゃんへの話しかけが、子どもの脳の発達に大きな影響を与える可能性が!

ーーーーーーーーーーーーーーー 約20年間にわたって、「0歳からの自然なおむつ外し(おむつに頼りすぎない育児)」で育った大勢の子どもたちを見てきた私は、ほとんど動物的?な直感で、強く感じてきたことがあります。

それは、「おしっこ・うんちがしたい/でた」という、赤ちゃんの排泄欲求に、大人が丁寧に寄り添って対応することは、子どもの脳の発達にとても良い影響があるのではないかということ。

一流大学に入れるとか、そういう意味での脳への良い影響ではなくて、もっと本質的な意味での、脳への良い影響のことです。

例えば、自分にとっての快・不快がちゃんとわかるとか、興味を持つテーマに対して意欲的に取り組むとか、困難を乗り越える粘り強さとか、他者に対する思いやり・・・のような、「生きる力」のようなこと。

ところで、「おむつ外しはいつから?」という疑問を持つ保護者の方はとても多いです。そして「トイレトレーニングは大変そうで気が重い」と感じている方もたくさんいますよね。 そんな方にこそ、伝えたいのです。

このような「排泄」を通じた赤ちゃんとの関わりが、実は子どもの“生きる力”を育む、大切なコミュニケーションのチャンスなのだということを。

そして!それを科学的な言葉で証明してくれたすごい本に出会いました(^^)/  日本や海外の教育関係者も高く評価する世界的なベストセラー本になっているようです。

…あ、でもね、この本に『0歳からの自然なおむつ外しがいいよ!』って書いてあるわけじゃないので、誤解なきよう(^^;




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『3,000万語の格差 赤ちゃんの脳をつくる親と保育者の話しかけ』 ダナ・サスキンド(著)/掛札逸美(訳)/高山静子(解説)/明石書店

算数や国語の学力、粘り強さ、自己制御力、思いやり…、生まれた瞬間から最初の数年間に、親や保育者が子どもとどれだけ「話したか」ですべてが決まる。日本の子育て、保育が抱える課題とその解決策を、科学的な裏づけと著者自身の具体的な実践から示した書(アマゾン・ウェブサイトの本の紹介文より引用) ーーーーーーーーーーーーーー

著者のサスキンド博士は、生まれつき耳が聞こえない子どもへの「人工内耳移植」が専門の小児外科医。

同じような条件の重度の聴覚障害の子どもたちに人工内耳の手術を行った後、手術は成功したにも関わらず、その後「話せるようになる子」と「ならない子」がいることに疑問を持ちます。 その疑問の答えを見つけるために、彼女は医学の世界から飛び出して、心理学や言語学の分野でも広く学び、言語発達の根本原因を探るようになりました。 その結果、彼女が発見したのは、「3歳までの言語環境の違いが、子どものその後の人生を決定づける」という、衝撃的な事実でした。

博士はこう述べています:

「だから子どもにはとにかく、たくさんの言葉のシャワーを浴びせることが大切。それも、脳の発達の大部分が完成する生後3年間の間に。」

ただし、ただ言葉を浴びせるだけではなく、『3つのT』を大切にした関わりが重要なのだそうです。

『3つのT』とは:

  1. Tune In:注意と体を子どもに向ける

  2. Talk More:子どもとたくさん話す

  3. Take Turns:子どもと交互に対話する

でもここで、多くの方が疑問に思います。「え...生まれて最初の3年間っていっても、0歳の赤ちゃんなんて、まだ話せないのに、どうやって対話するの?」って。

それが、実はできるんです!その自然な機会こそが、『排泄コミュニケーション』なのです!

たとえばこんな感じです:

【排泄コミュニケーションの3つのT】

  1. Tune In

    大人:「そろそろおしっこかな?」と赤ちゃんに注目

  2. Talk More

    大人:「おしっこしたいの?」「出るかな~」と声かけ

    赤ちゃん:{そわそわ/もぞもぞ}

    大人:おむつを外してあげる

    赤ちゃん:{おしっこ/うんちが出た!}

  3. Take Turns

    大人:「わぁ!出たね!」

    赤ちゃん:{にっこり}

    大人:「気持ちよかったね~」

    赤ちゃん:{またにっこり}

こうして、赤ちゃんとの間で、非言語の応答的な対話が可能になるのです。

実際にこのやりとりを体験したイラストレーターの小森桂子さんが、素敵なマンガにしてくれました。


「トイレトレーニングって大変そうでなんだか気が重い...」「いつからおむつ外しをしたらいいのかな...」と不安に思っている親や保育者が、「赤ちゃんの時からこの子とできること」に目を向けて、ゆっくり関係を深めていくことができる。

そんな風に視点を変えるだけで、おむつ外しのプロセスは、大人と子どもにとって、楽しくかけがえのない時間になっていきます。

0歳からの自然なおむつ外しで育つ子どもたちは、その子のベストタイミングで自然におむつが外れていくだけでなく、「人としての土台」をしっかり育ててもらっているのだなと、私は感じています。

サスキンド博士によるこの「3000万語の格差ー赤ちゃんの脳をつくる親と保育者の話しかけ」は、そんな私たちの実践に、大きな勇気と科学的な裏づけを与えてくれた一冊です。


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