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ダウン症の小さな勇者・いっちゃんとママChiemiさんが教えてくれたこと― 排泄から「尊厳」を思う ―

  • 5月29日
  • 読了時間: 7分

更新日:5月30日


「ここでしていいよ」ある朝、親が子どもに伝えた“やむを得ない一言”。でも、その言葉の奥には、「排泄」と「尊厳」についての、大切な思いありました。ダウン症の小さな勇者・いっちゃんとママChiemiさんの実話を通して、私自身が教えてもらったこと。排泄は、しつけではなく、その子の尊厳があらわれる営みなのかもしれない――。
「ここでしていいよ」ある朝、親が子どもに伝えた“やむを得ない一言”。でも、その言葉の奥には、「排泄」と「尊厳」についての、大切な思いありました。ダウン症の小さな勇者・いっちゃんとママChiemiさんの実話を通して、私自身が教えてもらったこと。排泄は、しつけではなく、その子の尊厳があらわれる営みなのかもしれない――。



「ここでしていいよ」


それは、ある朝、やむを得ず親が子どもに伝えた一言でした。

そして私は、その言葉に、胸がぎゅっと締めつけられるような気持ちになりました。

なぜなら、その一言の奥に、

「排泄」と「尊厳」


そして、


子どもを思う親の切実な気持ち


を感じたからです。

今日は、ある家族の日常の中で起きた出来事を通して、私自身が大切なことを教えてもらったエピソードをご紹介します。


先日、スタンドFMで、とても心を動かされるお話を聴きました。

ダウン症の小さな勇者・いっちゃんのママ、Chiemiさんが発信されている「CHIEMI航空✈️flight#22」です。

私も時々、聴かせていただいているのですが、子育ての日々を、飾らず、本音で語られていて、聴くたびに温かな気持ちになります。

今回は、その中の【排泄から家族への尊厳を思う】という回で語られていたエピソードを、ご本人の承諾を得て紹介させていただきます。

そこには、私たちが大切にしている


「排泄の尊厳」


の本質が、静かに描かれていました。

■ 深夜の高熱、そして渋滞の中で

ある日の深夜。

いっちゃんが39度を超える高熱を出します。

朝になり、Chiemiさんは急いで病院へ向かう準備をします。

ようやく車を出した、その直後。

いっちゃんが車の中で、


「お腹痛い!トイレ!」


と訴えます。

しかしその時、車は朝の大渋滞の中。

右にも左にも動けず、コンビニに寄ることもできません。

普段は言葉が少したどたどしい、いっちゃんが、はっきりと「トイレ!」と訴えている。

そこには、


「漏らしたくない」


という強い意思がありました。

でも、どうしても間に合わない。

仕方なくChiemiさんは 後部座席のゴムマットにティッシュを敷き、


「ここでしていいよ」


と伝えます。

いっちゃんは一瞬「えっ?!」という表情をしましたが、もう限界だったのでしょう。


パンツを下ろした瞬間、水のような下痢便が出ました。

この話を聴いた時、私は胸が締めつけられるような気持ちになりました。

きっとChiemiさんも、言いたくて言った言葉ではなかった。

でも、その“やむを得ない一言”の中に、とても大切なことが詰まっているように感じました。

■ 私が心を動かされた理由

いっちゃんは、布おむつで育ってきた子なのだそうです。

そしてChiemiさんは、特別な「トイレトレーニング」をしたわけではありません。

ただ、


「できるなら、おむつの外で、気持ちよく排泄させてあげたい」


という視点を大切にしてこられました。

おむつを使いながらも、ときどきはトイレや開放された空間で排泄する。

そんな関わりが、自然に日常の中にあったそうです。

これはまさに、私たちが大切にしている


「0歳からの自然なおむつ外し」


の考え方そのものです。 でもChiemiさん自身は、

「私は0歳からの自然なおむつ外しをしている」

と特別に意識していたわけではない。

ただ、

「できるなら、おむつの外で、気持ちよく排泄させてあげたい」

という気持ちで関わってきた。

私はそこに、

私たちが大切にしている

「0歳からの自然なおむつ外し」

の本質を見る思いがしました。 「自然なおむつ外し」と聞くと、何か特別な方法に感じるかもしれません。


でも本質はシンプルです。 お世話する大人が

“できるなら、おむつの外で気持ちよく排泄させてあげたい”

というまなざしで 寄り添うだけのことです。



■ なぜ、2歳頃にはトイレでできるようになったのか

そのような関わりの中で、いっちゃんは、ダウン症という特性がありながらも、2歳頃にはトイレで排泄することが当たり前になっていきました。

ここで大切なのは、


「特別な訓練をしたからできた」


という話ではないことです。

むしろ、


“おむつの中だけで排泄すること”を当たり前にしなかった


ことが大きかったのではないかと思います。

だからこそ、 渋滞の車中で便意がおきてしまった時に

「トイレ!」

と訴えたのだと思います。

■ 少しだけ、考えてみてください

もし、


「あと2回は吸収できるから大丈夫」


と言われて、湿った状態のままのおむつで過ごすとしたら——

あなたは、それを心地よいと感じるでしょうか。

排泄の快・不快は、誰にとっても、とても繊細な感覚です。

そしてそれは、赤ちゃんも、障がいのある子も、大人も、本当は同じ。

だからこそ、その扱い方には、


相手へのリスペクト(尊厳)が

そのまま現れる


のだと思います。

■ 必要なのは「方法」ではなく「まなざし」

今の子育て環境では、

・高性能なおむつ ・忙しい毎日 ・「トイトレは◯歳から」という常識

そんなものが重なり、

知らず知らずのうちに子どもは、


「排泄=おむつの中でするもの」


ということを強く学習していきます。

でも本来、

動物である人間の子どもは、

身体の感覚を感じながら、

開放された空間で、

気持ちよく排泄する力を持った存在です。

ここで大切なのは、


この子に、

気持ちよく排泄させてあげたい


という、大人側のまなざし。

その視点があるだけで、おむつの外で排泄する経験を少しつくったりする関わりが、自然と生まれます。

こうした「排泄の尊厳」や「気持ちよい排泄」という視点を、もっと多くの家庭や支援現場に届けたいという思いから、私は長年にわたり「0歳からの自然なおむつ外しアドバイザー養成講座」を続けてきました。

■ 排泄は「しつけ」ではなく「尊厳」

今回のエピソードは、

排泄という行為を通して、


「尊厳とは何か」


という問いを、私たちに投げかけてくれています。

いっちゃんが

「トイレ!」と訴えたのは、


「自分はどうしたいか」


という意思の表現だった。

そしてその背景には、

小さな頃から積み重ねられてきた


「気持ちよく排泄する経験」


がありました。

排泄は、しつけではありません。

その人への尊厳があらわれる、

大切で自然な営みです。

そしてその始まりは、

「気持ちよく排泄させてあげたい」

という、小さなまなざしなのです。

■ 日常の中にあるヒントを、もう少し深く

今回のように、排泄をめぐる日常の中には、大切な気づきやヒントがたくさん詰まっています。

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文責:和田智代(一般社団法人 こどもと家族の排泄サポート研究所 代表理事) 




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