なぜ、おむつ外しは、親をここまで苦しめるのか
- 1月16日
- 読了時間: 7分

「もう3歳なのに、どうして外れないんだろう」 「周りの子はできているのに…」 「私の関わり方が、間違っていたのかな」
3歳を過ぎておむつ外しがうまくいかないと、多くの保護者が、言葉にしづらい焦りや孤独を抱えます。
誰かに責められているわけではないのに、自分で自分を責めてしまう。
「ちゃんとやらなきゃ」と思うほど、心が苦しくなっていく。
でも、最初にどうしてもお伝えしたいことがあります。
3歳を過ぎてもおむつが外れないのは、親のせいではありません。子どものせいでもありません。
そこには、今の時代を生きる親子がとてもつまずきやすい“構造的な理由”があります。
なぜ、こんなにも苦しくなるのか
「うまくいかない」だけで、どうしてここまで心が追い詰められてしまうのでしょうか。
これまで多くの親子の相談を受ける中で、「なかなか外れない」ケースには、いくつかの共通点があることが分かってきました。
紙おむつの進化が生んだ影響
今の子どもたちは、生まれた瞬間から、私たちとはまったく違う排泄環境で育っています。
今の紙おむつは、とても高性能です。長時間濡れず、不快感も少なく、サイズも長く使えます。
それは、親にとって、そして、ある意味では子どもにとっても、ありがたい進化でした。
でもその一方で、子どもが「排泄による身体の変化」を五感で感じにくくなった、という側面も生まれました。
これは、誰のせいでもありません。 時代の変化の中で、私たちがさまざまな便利なモノを受け入れてきた、自然な結果です。
善意の言葉が、迷いになるとき
安心させるはずの言葉が、かえって親を迷わせてしまうことがあります。
「まだ焦らなくていいですよ」 「そのうち自然に外れますから」
こうした言葉に、救われた気持ちになった方も多いでしょう。
でも、やがて3歳すぎて4歳近くなってもおむつが外れないと 「まだ何もしなくていいの?」 「このままで大丈夫なの?」 と不安が大きくなってくる。
善意の言葉と、目の前の現実との間で、親は揺れ続け、心はすこしずつ消耗していきます。
昔の方法が合わない理由
「昔はこうだった」というやり方が、今の子どもに当てはまらないのには理由があります。
あまり知られていない事実ですが、日本で一般的に語られるトイレトレーニングの考え方は、布おむつが主流だった50〜60年前に欧米で形づくられたものです。
当時と今では、子どもを取り巻く環境がまったく違います。 それなのに、紙おむつが当たり前になった今も、昔の方法がそのまま使われている。
だから、うまくいかなくて当然なのです。
行動の前に整えたいこと
「じゃあ、どうすればいいの?」
そう思ったとき、多くの人は
「正しい方法」
を探します。
でも、ここで一度立ち止まってほしいのです。
人は―子どもも、大人も― 「安心・嬉しい・できる」という心の状態にあるときにしか、本当の意味で考え、学び、行動することができません。
「早く外さなきゃ(大人)」 「失敗すると叱られる(子ども)」 という焦りや不安の中では、どんな正しい方法も、うまく機能しないのです。
トイレに座る練習をさせる前に、 ご褒美シールを用意する前に、 まずは子どもの心と、そして、サポートする大人の心の両方が「安心・嬉しい・できる」という状態になること。 それが何より大切なのです。
この視点が、一般的なトイレトレーニングの方法では抜け落ちています。
だから、うまくいかなくて当然なのです。
排泄自立の自然な流れ
排泄の自立は、いきなりゴール(トイレ排泄)を目指しても、上手くいかないことが多い。
なぜなら、排泄の自立には、大きく分けて3つのステップがあるからです。
①排泄を身体で感じる ②開放された空間で排泄する
③トイレで排泄する
これは排泄自立に向けた『地図』のようなものです。 多くの親子は、この地図を持たないまま、いきなりゴールの『ステップ③トイレで排泄する』を目指してしまいます。 そして、うまくいかず、立ち止まってしまう。 ネットや育児書で紹介される一般的なトイレトレーニングでは、この地図の存在が語られていません。
だから、うまくいかなくて当然なのです。
3歳を過ぎた子の本音
3歳を過ぎてもおむつが外れない子は、「分かっていない」わけではありません。
身体の機能は、しっかり発達している
頭では 「トイレでした方がいい」と理解している
でも、身体と心は おむつの中でする感覚に慣れている
このズレが、子どもを戸惑わせます。
そしてその戸惑いは、言葉にならない形で、拒否や抵抗として表れることがあります。
それを親は、「反抗している」と感じてしまい、関係がこじれていく。
だから、うまくいかなくて当然なのです。
イライラしてしまう理由
多くのトイレトレーニングの本には、必ずこう書かれています。
「子どもがうまくできなくても、感情的に叱ってはいけません」
だから、「叱るのはよくないこと」は、みんな頭ではわかっている。 それでも、おむつ外しが長引くと、我慢の限界がきて、つい叱ってしまう。
その奥にあるのは
「もう分かっているはずなのに」 「できるはずなのに」
という強い期待と不安です。
この気持ちの奥には、疲れ、孤独、そして「親としてちゃんと向き合いたい」という切実な願いがあります。
でも一般的なトイレトレーニングの方法では、親自身の感情の扱い方までは教えてくれません。
だから、うまくいかなくて当然なのです。
ここまでの話をまとめると
ここまで、おむつ外しがうまくいかなくなるさまざまな背景を見てきました。
一つひとつは、別の問題に見えるかもしれません。
でも、実はすべてに共通していることがあります。 それは、「おむつ外しのやり方」だけを変えようとしても、うまくいかないということです。
紙おむつが当たり前の今という時代に本当に必要なのは、
・子どもの発達をどう理解するか
・うまくいかないときに、大人がどう立ち止まるか
・感情をどう扱い、関係をどう立て直すか
こうした土台となる知識とスキルを大人が体系的に学ぶことです。
こうした土台を学ぶ機会が、ほとんどないまま、おむつ外しの現場に立たされている。
それが、今の時代の親子がつまづきやすい、構造的な問題なのです。 それが、3歳すぎておむつが外れない “苦しさの正体” なのです
だから、方法やテクニックをいくら足しても、苦しさが減らない親子が出てきてしまいまうのす。
ここまで読んで下さった方へ
おむつ外しは、子どもの人生のほんの一場面です。
でも、その関わり方は、親子の関係に静かに長く影響していきます。
だからこそ、おむつ外しという子育ての大きな出来事を通じて
排泄を含めた子どもの発達をどう理解するか。
うまくいかないときに、大人がどんな視点で立ち止まり、どう関わり直すか。
という知識とスキルを身につけること。
実はそれらは、一度身につければ、おむつ外しが終わったあとも、何度も立ち返ることのできる“子育ての土台”になっていきます。
“おむつ外し”という貴重なきっかけを通じて、「その場しのぎ」ではなく、子育てという長い旅の中で、ずっと使い続けられる知識とスキルを、きちんと整理して身につけたいと感じた方へ。
そうした考え方をベースにした保護者サポートをしていきたいと願う、子育て支援者の方へ。
そのための講座が「3歳からの幸せおむつ外しアドバイザー養成講座」です。
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文責:和田智代(一般社団法人 こどもと家族の排泄サポート研究所 代表理事)
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