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子どもの“見えない異変”の背景に何がある?

  • 3 日前
  • 読了時間: 7分

更新日:7 時間前

「最近、おもらしや便秘でつらそうな子が増えている…」 保育園・幼稚園や学校の先生から、そんな声を聞くことが増えました。 実はこれ、全国調査でも、国際的な研究でも、同じ傾向がはっきりと出ています。 いま日本の教育現場で、子どもたちの排泄に何が起きているのか? そして、その背景には何があるのか? 子どもたちの未来を守るために、知ってほしいことを書きました。
「最近、おもらしや便秘でつらそうな子が増えている…」 保育園・幼稚園や学校の先生から、そんな声を聞くことが増えました。 実はこれ、全国調査でも、国際的な研究でも、同じ傾向がはっきりと出ています。 いま日本の教育現場で、子どもたちの排泄に何が起きているのか? そして、その背景には何があるのか? 子どもたちの未来を守るために、知ってほしいことを書きました。


教育現場と最新研究から見えてきた“見えない異変”


子どもの排泄について研究・発信を続けてきた私は、この10年ほど、保育者や学校現場から同じ相談を繰り返し受けるようになりました。

「昼間のおもらしが増えている」 「おむつがいつまでも外れない」 「赤ちゃんの頃から便秘で苦しむ子が増えている」

これは“個性”や“しつけの問題”だけでは片づけられません。

日本国内の調査や国際論文でも、同じ傾向が裏づけられているのです。



■ 全国の園や学校が感じている“おもらし・おむつ外れの遅れ・便秘”の増加

(子どもの排泄発達の課題)

日本体育大学の研究チームが行った調査(2020)*では、全国の保育園・幼稚園・小中高の教職員に「子どものからだの気になる変化」を尋ねています。

結果は次の通りでした。

「昼間のおもらし・おむつ外れの遅れが増えている」と感じる割合 ・保育所:47% ・幼稚園:58% ・小学校:21%

「便が出なくて困っている子が増えている」と感じる割合 ・保育所:52% ・幼稚園:46% ・小学校:35%

これは「なんとなく増えた」というレベルではありません。 全国規模で、子どもの排泄機能の発達に“異変”が起きているのです。


■ 小学生にも増える「過活動膀胱(昼間尿失禁)」


トイレの我慢ができない子どもたち。

オムツが外れたあとでも、

  • トイレが異常に近い

  • 遊びや授業中に間に合わず漏れてしまう

  • 尿意が急にきて我慢できない

という相談が増えています。

背景の一つとして注目されているのが過活動膀胱(OAB:Overactive Bladder)

膀胱の筋肉が敏感になり、尿意がくると我慢できない状態です。

原因のひとつには膀胱を支配する神経系の未発達が挙げられますが、では「なぜ未発達なのか?」は長年不明でした。



■ 20年間の排泄支援で感じ続けてきた違和感


(おむつ依存と排泄機能の発達の関係)

私が約20年間、赤ちゃん期からの排泄支援(おむつに頼りすぎない育児)を研究・実践してきた中で、どうしても消えなかった疑問があります。


それは――


生後3〜4年もの長期間、「おむつの中だけで排泄し続ける生活」を送ることが排泄に関わる神経発達を妨げているのでは?


という疑いです。


高性能の紙おむつは:

  • 濡れを感じにくい

  • 便やおしっこがどういうものなのか認識しづらい


そのために

  • 膀胱の張りや便意といった身体の内側の感覚

  • 自分がどんなうんちやおしっこを出しているかという身体の外側の感覚


が育つタイミングを逃し、幼児期・学齢期まで排泄トラブルを引きずってしまうのではないか?


その結果――排泄感覚(身体感覚)が育つ時期を逃し、幼児期〜学齢期の排泄トラブルにつながる可能性があるのではないか?と感じてきました。




■ Nature掲載の国際研究が示した決定的な事実


(おむつ使用期間&おむつ外排泄体験と排泄障害の関係)


この疑問を裏づけるような研究が、2000年代以降、海外で次々と発表されています。

特に衝撃的だったのが、世界で最も信頼性が高い学術雑誌の一つと言われる Nature 系の科学誌 Scientific Reports に掲載された中国の大規模研究です。

対象:4〜10歳 10,166人

結果は明確でした。

  • 25人に1人が膀胱・腸機能障害(排尿・排便のコントロール困難)

  • 紙おむつ使用期間が長いほど、膀胱腸機能障害の有病率が上昇

  • 生後12ヶ月以内に「おむつ外で排泄経験あり/なし」による膀胱・腸機能障害の有病率 ▶「おむつ外で排泄経験あり」の有病率: 1.36%

    ▶「おむつ外で排泄経験なし」の有病率: 15.71%


研究チームは次のように結論づけています。

紙おむつの長期使用と、おむつ外での排泄経験の遅れは、子どもの排泄障害の重要なリスク要因である。

もはや「育児スタイルの違い」では済まされません。

子どもの健康・尊厳に関わる医学的な問題です。



■ 排泄にも「発達の最適なタイミング」がある


(敏感期・臨界期)


寝返り・はいはい・歩行に“発達の旬”があるように、排泄コントロールにも 敏感期/臨界期 が存在すると考えられています。


今回の国際研究は、私が長年、感じてきた実感を強く裏づけるものでした。



■ 日本だけが、遅れ続けている…


(排泄発達の軽視)


海外では排泄発達の研究が進んでいる一方、日本ではまだ認知も研究も進んでいません。 専門家と呼ばれる人の多くは、いまだに「おむつ外しは3歳過ぎてからゆっくりで...」と発信している状況。


その結果――


排泄がうまくいかない子が増えても、その現状や原因が共有されず、対策も取られない。


そして、子どもたちだけがつらい思いをしています。



■ 園や学校で漏らしてしまう“子どもの苦しさ”


想像してみてください。


  • 活動中に間に合わず漏らしてしまう子ども

  • 便秘で苦しくてトイレに行っても出せない子ども

その恥ずかしさ、自責感、苦しさは、大人が想像する以上に深く心に残ります。

排泄は単なる生活習慣ではありません。


人間の尊厳に深く関わる行為です。



■ 子どもたちの未来を守るために


(排泄発達を支える視点を広げたい)

排泄の困りごとは、個性やしつけだけでは説明できません。


中国での大規模調査結果が示すとおり、現代の便利グッズである紙おむつに、私たち大人が“無自覚に頼りすぎてきた”結果として、起きている可能性が大いにあるということ。 そして赤ちゃん期から――便利な紙おむつも上手に使いながら、「人間本来の身体感覚が育つ排泄サポート」をしていくことが、どれほど子どもの未来を守ることにつながるかということ。


だから私は、子どもの排泄に関する様々な講座づくりや、SNSでの啓発を続けています。

保育者・親御さんが、「ひとりで悩まなくていいんだ」と思えるように。

そして子どもが自分の身体を誇りに思える未来をつくるために。



■ これ以上、排泄トラブルで苦しむ子を増やさないために


排泄トラブルは世界的にも増加しているようです。日本も例外ではありません。

今こそ、保護者・保育者・医療者が正しい知識を持ち、子ども本来の排泄発達を尊重する文化を育てることが必要です。


私はこれからも、研究と現場の声をつなぎながら、排泄の大切さ、そして子どもの尊厳を守るための発信を続けていきます。 *野井真吾他、子どもの“からだのおかしさ”に関する 保育・教育現場の実感:「子どものからだの調査 2020」の結果を基に


**Zhang, L., Chen, Y., et al.(2021)"Delayed elimination communication and the prevalence of children’s bladder and bowel dysfunction." Scientific Reports.



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文責:和田智代(一般社団法人 こどもと家族の排泄サポート研究所 代表理事) 


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